写真展「NY・マンハッタンの主たち」2011/09/15 23:53

 お上りさん旅行者であった2006年には前述したように作品を発表する意識などは全く無く、楽しく写真を撮ったという程度でした。確かにパリやアムステルダムとは雰囲気が違うと思いましたが。そんなことで何度見直してもさほどの結果にはならず、何枚かの写真が生き延びただけでした。


 月並みな写真では公募を通過しないことは明らかです。かと言って僕に非凡な才能があるわけではありませんからどうしたら良いか僕なりに悩みました。


 2回目のニューヨーク行きは2010年12月でした。今度こそはと思い、10日間の滞在を計画しました。


 ジョン・F・空港に着き、旅行会社の迎えのワゴン車に乗り込みました。客は我々夫婦だけでした。天気は曇りで鉛色の空が重くのしかかっていました。そんな雰囲気の中、我々の車は片側5車線もある道路をマンハッタンの中心部へ向けて突っ走っていました。じきに市街地に入り高層ビルがどんよりとした夕暮れの空を背景に林立するのを車窓から見ながら、僕は何をしに来たんだろう、こんな巨大な街にどうやって立ち向かえというのか、という思いが次第に強まってゆくのが分かりました。ある種の恐怖心すら芽生えていました。一瞬、写真を撮ることを諦めてくすびを返して帰ろうかとさえ思いました。そんな気分に自分が陥るとは、日本を出る前には全く予想をしていなかったことでした。
 マンハッタンに着く頃には辺りは薄暗くなり、街灯や摩天楼に明かりがつき、ネオンサインが輝きはじめ、鉛色の空の圧迫感は少しずつ薄らいでゆきました。


 ふと、我に帰って、このニューヨークで仕事をしたり生活をしている人々、また、成功を夢見てこの地にやって来る人たちもこんな気分になることがあるのだろうかと思ってみました。

 写真はタイムススクエアーで見た電飾看板 2008年12月
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