僕の45年間ー1142011/05/17 22:11

 ステーキの焼き加減は、ウエルダン、ミデアム、ミデアムレア、レアと細かく注文が出されます。客の意に沿わない焼き加減の場合には苦情が来ます。焼き直しが出来るものであれば救われますが焼きすぎの場合はステーキを一枚無駄にします。もっともそういうステーキは「ステーキ&キドニーパイ」に化けます。これはイギリスの伝統的な料理です。パブやレストランでは通常、昼食のメニューです。


 肉の焼き加減は慣れるまで苦労をしました。焼きながら肉を中指でギュッと押して、その硬さからミデアムとかウエルダンを判断します。しかし、自信がないときはこっそりナイフを肉の厚さの半分まで入れて確かめました。皿の載せるときには切り口が分からない方を上向きにします。
 一番困ったのはひれ肉ステーキのウエルダンです。厚みがあり普通のやり方では十分に火が通りません。ルイさんに教わったのは、フライドポテト用のフライヤーで数分間フライにしてから焼くというやり方でした。


 あるとき、焼き加減がブルーという、聞いたことがないステーキの注文がありました。ルイさんはいきなり「Osaka, Come.」と言って「I’ll tell you how to cook a blue stake.ブルーの焼きかたを教えるから」と説明を始めました。肉はあらかじめ冷蔵庫から出しておいて、常温になるように心がけるんだ。そして、煙が出る直前までフライパンを熱くして、1,2,3,4,5まで数えたらひっくり返してまた、1,2,3,4,5だ。いちばん簡単だよ、と。大事なことはウエイトレスが「ブルーステーキ!Go」と叫ぶまでは準備だけをしておけ、とも。
めったに無い注文でしたが月に何回かはありました。


 写真はリヨン駅 2005.12
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