映画で写真の勉強-22013/03/04 22:22

 2日のブログで小津安二郎の「晩春」に少し触れました。その続きです。
 僕は人物を撮るのが好きです。純粋に風景や動物、花などの写真はめったに撮りません。あまり関心がないせいかもしれません。僕が写真の題材として強い興味がわくのは人物です。それは学生時代から同じです。手元にはすでにありませんが大学生の時に撮った男性のポートレイトはいまだに脳裏に焼き付いています。新宿の東口前の広場で撮らせてもらったのです。今でもあれは僕の傑作だったと思っています・・。
 
 僕が関心をもつのはスタジオで撮るのではなく、生活の場で撮る人物写真なのです。生活の中での立ち居振る舞いの中で、その人物を浮き上がらせるようなのが僕は好きなのです。
 「晩春」にはたくさんの人物を撮っている場面があります。それらはもちろん注意深く演出された場面で、非演出の僕のとる写真とは正反対なのですが、僕にとっては大事な勉強材料です。その構図や光の当て具合など、何度観ても新しいことに気づかせてくれて勉強になります。
 また、僕は1枚で完結する写真は今までに取り組んだことがありません。個展をやることを考えると3~40枚の組み写真となります。その場合にどんな場面の写真が含まれていなければならないかを考えながら撮影をし、選び、構成を考えます。
 この「晩春」は冒頭に北鎌倉の風景が映し出され、話の舞台が示されます。それから登場人物たちのさまざまな動きに沿った場面に変わってゆきます。その手法は僕が組み写真でドキュメンタリー写真を構成するのと同じだと思っています。
 「晩春」は昭和24年の作品ですから、僕が共感するその手法はもう時代遅れだと言われるかもしれません。それでも僕は小津安二郎の作品には普遍的な法則があるように思えます。

コメント

_ nakky ― 2013/03/05 09:27

重ね重ね、古いネガとかプリントとか残存していないのが残念ですね・・・

青森で撮られた雪の中で学生服を着て立ってる少年のポートレート、とても素敵な笑顔ですよね・・・

_ 大坂忠 ― 2013/03/05 10:57

ありがとうございます。
写真を再開できるとは夢にも思っていませんでした。
デジタル、万歳です(笑)

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