僕の45年間-132010/01/03 20:59

後年「慕情(原題Love is a Many-splendored Thing)」という映画を見る機会がありました。
何年ころかは覚えていません。今はすでに販売はされていませんがDVDの前にレーザーデスクというのがあり、ビデオに比べて数段きれいな映像を提供してくれました。特に一時停止したときの映像にぶれがなく、英語を教える際に電気紙芝居的な利用で大いに重宝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=alRKMk8NlDY
ご存じのように舞台は香港です。大変懐かしく観た記憶があります。
この作品は1955年の発表ですから僕が香港を訪れた時期の12~3年前に撮影をされたのだろうと思います。内容はメロドラマです。僕は音楽とともに大変好きな作品です。この映画でEurasian(白人とアジア人の混血)という単語を知り、なるほどと思ったのを覚えています。

街の雰囲気はまさしく僕の最初の香港の印象と同じです。いま、僕の手元にDVDがないので確認ができないのですが香港全体を鳥瞰した映像が冒頭か最後に出てきます。それを見たときには「そう、そう、こんな感じだったナ」と思いながら、当時は2度と訪れる機会はないだろうと思っていた香港を懐かしく思ったものです。

僕は、日本出発前は荷物を最小限のにしなければという思いが強くあってリュックサックとカメラ鞄のみという出で立ちで船に乗り込みました。しかし、最初の寄港地の香港で小ぶりのショルダーバッグが必要だと気づきました。冬用の上着を地図などを入れる物入れの代わりに着て歩くには暑すぎたのでした。船を下りたとたんに汗どろどろでしたから。そこで鞄の露天商で格安のカーキー色のキャンバス地のショルダーバッグを買いました。初めての買い物でした。これなら上着を着て歩かなくても不便をしないだろうと大いに満足をして、店先で上着のポケットの物を出してバッグに入れ替えました。

僕は限られた500ドルと現金2万円という旅費しか持っていませんでした。したがって、寄港地で遣えるお金は全くなく、街で中華料理を食べるなどと言うことは論外でした。しかし、一緒に下船した人たちは「これは安いね~。」といいながら小物を買って喜んでいました。僕は、皆、同じ500ドルしか持っていないはずなのに余裕があるな~、と思いながら買い物の様子を眺めていました。
昼どきには困りました。安い屋台で食べるにしてもお金が必用です。僕にはそんなお金の余裕はなく、せいぜい冷たい飲み物で我慢をせざるを得ませんでした。そんなことで街の見物はしたい、腹は減るという有様でした。で、空腹が我慢できず、午後2時頃には一人で船に引き返しました。

食事に関しては、船は天国です。3食に加えてAfternoon tea があり、飲み物と菓子や果物がふんだんに出されました。
その日は昼抜きでしたからAfternoon teaが待ち遠しく食堂でうろうろしていました。ほとんどの船客は下船をしていて食堂はがらんとしていました。僕は一人で悠々とサンドイッチなどのAfternoon teaにあずかりました。以来、下船をする際には、昼どきには戻ることを給仕長に告げることにしました。つまり、船に戻って街に出直すという作戦をとることにしたのです。

その日、ゆっくり空腹を満たして、やれやれと思いながら一息を入れ、さっき買ったばかりの鞄に目をやりました。僕は真っ青になりました。

<慕情>
作詞:P・F・ウェブスター、作曲:S・フェイン
日本語詞:岩谷時子、唄:ナット・キング・コール他

春浅きあした/風に揺れて咲くバラの花こそ
二人のはかない恋の姿よ/つかの間に咲いて散る
君とただ二人/霧にぬれ 固くいだき合いて
口づけし別れの丘に/今日も君慕い 君想う
<Love is a Many-splendored Thing>
Love is a many-splendored thing
It's the April rose
That only grows in the early spring
Love is nature's way
Of giving a reason to be living
The golden crown that makes a man a king
Once on a high and windy hill
In the morning mist two lovers kissed
And the world stood still
Then your fingers touched my silent heart
And taught it how to sing
Yes, true love's a many-splendored thing
Once on a high and windy hill

写真はカンボジアの市場で店番をする少年

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