僕の45年間-1532011/07/08 21:51

 僕は、こりゃダメだと思いましたが、もう一つ聞きたい、と続けました。
 「あなた達が言う愛だの平和だのと言うのは、こんな風に大麻を吸って毎日ゴロゴロしていれば手に入るものだろうか。あなた達の生活ぶりをみるとどの部屋もゴミだらけで、異臭がして、愛や平和についてじっくり話したくなるような感じじゃないと思う」と言いました。
 その部屋にいた数人のヒッピー達は「お前に俺たちの哲学が分かるものか」とか「お前は日本に帰れ」と言いました。

 しょうがないな、と僕は思いながら「あなたはドイツ出身でしょう。ドイツに帰ったらいいよ」と言い返しました。

 僕は写真を撮ることは貴重なフィルムの無駄だと思い、やめました。

 外は夕暮れになっていました。相変わらず手持ち無沙汰の警察官や消防士たちが何人も立っていました。
 一人の警察官が近づいて来て中の様子を尋ねました。僕は見た通りの話をしました。

 ブライトンのフラットに戻りテレビのニュースを観たら、ヒッピーたちのビルディング不法占拠は一件落着となっていました。
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 余談になりますが、僕がイギリスから帰国をするときに、大き目の船旅用のトランクを中古で買いました。乱暴に扱われてもビクともしない丈夫な箱です。鍵もしっかりしたのが付いていました。
これに、イギリスで捨てきれなかった、多くは本の類を入れて発送しました。2ヶ月ほどで到着したのですが・・・・届いたのは鍵がこじ開けられた形跡がある空のトランクだけでした。中は完全に空っぽでした。僕はがっかりしました。その中にはヨーロッパで撮った「幻の傑作」のネガが入っていたからです。
 ピッピーたちの写真も数枚は含まれていたのですが、誰にもお見せできないのが残念至極です。傑作?がたくさんありましたのに・・・。

 写真はフランスのディエッペからの帰りの夜の電車内。蛍光灯が多用されるのとは少し文化が違うのかなという気がします。 2006年12月
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