僕の45年間-1522011/07/07 22:17

 「君のいう生気がない若者の表情というのは分かるよ。多分、大きな意味で心配事がない社会では、生きる為にというか生活の為に一所懸命に何かに取り組む必要も無いし、動機もないのだろう。
 ケープタウンの若者は白人も黒人も目をギラギラさせている。ハングリー精神は大事だと思うけれど、反面、競争し差別することを助長することになる。僕はその結果、敗者が出現し、敗者は嫉妬をし、最後には手段を選ばずに戦おうとする。優越感に浸っている者は、敗者であるはずの者が成功をすると暴力に訴えることまでしても優位を保とうする。僕はそんな社会のあり方に疲れたよ」というのがジョンさんの結論であったように思います。

 僕は空きビルディングを占拠して何を達成しようとしているかを知りたいと思いました。
 彼らの答えは「社会にはたくさんのホームレスの人々がいる。それなのにこのビルディングのように空いたままのが方々にある。ロンドン市はもっと有効活用をするべきだ」と言いました。

 僕は「普通の人たちは一所懸命に働いて家を買ったりクルマを買ったりしている。あなた達もそうしたらいいんじゃないの」「この建物には持ち主がいるはずだ。あなた方はその人に家賃を払わずに、こうして無断使用をしている。僕は家賃を支払ってフラットを借りている」と言いました。
 ドイツ語訛りの英語を話す男は「俺たちを雇ってくれるところは無いに決まっている。それに、このビルディングは使われていないのだから俺たちが使ってもいいだろう」と言うのです。
 
 僕はだんだん、ブライトンを出発したときの強い好奇心というか、話をしてみたいという気持ちが薄れていくのが分かりました。

写真はフランスのディエッペの市場 2006年12月
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