生きる勇気を与えることが芸術=山田洋次= ― 2014/11/19 20:06
学生時代から撮るのも観るのも人物の写真が好きでした。当時感動したのに「The Family of Man」や「人間とは何か」という写真集や展示がありました。(下記のサイトをご覧ください)
http://tadashi.asablo.jp/blog/2009/05/17/4309843
http://tadashi.asablo.jp/blog/2009/05/18/4311624
そして、「僕は何を表現したいのか」という、表現者にとって切実なことなのですが、一向に明確な説明ができるほど掘り下げることができない命題は、学生時代と同じように写真を再開したここ10年間も脳裏から離れません。
それぞれの分野の表現者が「芸術ってなんですかねえ」と問い、答えを探しているのだろうと思います。高倉健もまた46歳ときにこの難問にぶち当たって、自分の演技のことを悩んでいたのではないでしょうか。
僕は下記の記事に接して感動しました。山田洋次氏の説明は僕のジグゾーパズルの欠けていたところにぴったりとはまったような気がしました。
朝日新聞夕刊2014年11月18日の記事
「貫いた映画人 高倉健さん死去、慕われた『最後のスター』」
(前略)
決定的な転機は46歳で出演した「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」(77年)だった。東映から独立後で、健さん自身、自らの進むべき道を探しあぐねていた時代だった。
結果、健さんをヤクザ映画のスターから国民的ヒーローに押し上げる作品になったのだが、本人にしてみれば、「映画人」とは何か――よほど、悩んでいた時期だったのだろう。
健さんは撮影の合間に、山田洋次監督に「芸術ってなんですかねえ」と聞いてしまう。質問を受けて3日たってから、山田監督は答えた。
「ジャンルは違っていても、この作者がこれだけ頑張っているんだから、おれももっと頑張れるんじゃないか――そんな生きる勇気を与えることが芸術じゃないんですかねえ」
健さんは忘れないように太文字のペンで台本の裏にそっと、しかし一生懸命書いた。その紙切れを生涯、「お守り」のようにして財布に入れていた。
(後略)
写真を撮る際のシャッターを押す判断は瞬間のことです。その後、モニターで撮った写真を幾度も見て「こりゃ、だめだ」とか「これは使えるかな」と独り言をいいながら選ぶ作業をします。しかし、これからの選ぶ作業は「生きる勇気を与えるかな、どうかな」とつぶやきながらやってみようと思います。
コメント
_ 掌 風 ― 2014/12/22 23:47
_ 大坂忠 ― 2014/12/23 10:37
_ 大坂忠 ― 2014/12/23 21:40
残念ながら、お金がなければ腕のいい弁護士に依頼できないというのは、一部の例外はあると思いますが当時も今も同じだろうと思います。僕はイギリスにいたときmoney talks(お金はものいう)という熟語を学習したのを思い出しました。
僕は取調室の可視化は絶対なされなけれならないと思っています。
司法だけではなく医療においてもお金のあるなしが問題になっています。かといってむやみに税率を引き上げれば解決できるということでもないような気がしています。難しいですね。
_ 掌 風 ― 2014/12/27 20:34
さて、下記のURLですが、1964年 東映が製作した名画の予告編です。大坂さん既に御承知かもしれませんが、
作家 水上 勉 (原作) 「飢餓海峡」 のモノクロ作品です。
16m/m カメラで撮影、35m/m に反転させ粗粒子描写を実現した銀幕ならではの傑作映画です。
小説自体、「社会派推理小説」 と呼称されたようですが、単なるそれではなく、戦後の貧困、極貧と言うべきか? その中に生きる渦中での ”罪” と、それぞれの ”生き様” 社会背景など言葉に尽くせない諸々が、息詰まる様に描かれています。私は、17歳の頃にこの映画を観て言葉をうしないました。小説も何十回と読み直しましたが。
北海道の岩内町の大火と、洞爺丸転覆事件にヒントを得ての始まりですが、津軽海峡、下北へ、そして舞台は丹後地方へと ・・・ なぜか今日では ”原発銀座” と呼ばれる地方へと展開して参ります。早晩これらの地域は極貧のそしり免れなかったからでしょうか。
主演の三国錬太郎、左 幸子 もさることながら、函館警察捜査警部役の 伴 順三郎 若き日の高倉 健 (舞鶴警察警部の役) の好演も光ります。
粗粒子描写は、ブラウン管では再現不能でしたが、デジタル方式なら案外いけるかもしれません。
_ 大坂忠 ― 2014/12/27 22:04
_ 掌 風 ― 2015/01/02 00:16
_ 大坂忠 ― 2015/01/03 09:14
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