写真は複製が容易2013/01/16 22:33

 今日の朝日新聞夕刊の「美術」に大竹昭子氏が記事を書いています。「2011年秋、ニューヨークで一風変わった写真のイベントが行われた。会場に用意された森山大道の写真コピーを参加者がセレクトして自分だけの『森山大道写真集』を作るというものだ。」

 オリジナルプリントの写真の売買はどれほどの市場があるのか、僕にはわかりません。西欧や北米ではその専門のギャラリーが存在し、コレクターがいて美術品として流通しているというのを読んだことがあります。東京においても近年その動きがあるというのは聞いたことがあります。
 写真作家が自分のオリジナルプリントを流通させることは、写真家の次の制作のための資金を確保するという意味において大変良いことだと思います。
 反面、写真には他の美術の表現方法とは異なる特性を持っています。作家自身によるプリントとほぼ同じ複製を何枚でも作ることができるということです。特に現代はデジタルプリントが可能ですから、暗室での作業よりもはるかにオリジナルと同様の質を再現しやすくなっています。
 写真集を出版することもそれに近いことのように思います。しかし、数千部の出版には営業が欠かせません。また、在庫を抱えるという危険性もあります。家内工業的に使える今日のプリンターはオリジナルの再現力に加えて、必要な部数だけを印刷すればいいという特徴があります。課題は製本をいかに簡便に行うかということだと思います。

 考えただけでもわくわくします。製本の方法さえ見つかれば個展の会場で希望者が求める写真をプリントし、製本して、その方の編集によるオリジナル写真集を提供することができるのです。いつか試みてみたいなと夢想します。もっとも、選んでもらえる写真を撮ることが先決ですが・・。

コメント

_ nakky ― 2013/01/17 15:26

ある意味、「複製の時代」かも知れませんね・・・

CDもDVDもいくらでも無劣化コピーが可能ですし。


電気的な「技術」はすぐによその国にコピーされちゃいますしねぇ(泣)

なんか、「日本の写真」が世界で認められてきているんですね。嬉しい限りです。

_ 大坂忠 ― 2013/01/17 20:33

>ある意味、「複製の時代」かも知れませんね・・・
夢ですが・・・
それを逆手にとり、作者が共感者に積極的に写真を提供すれば楽しいかなと思うのです。PCの無料ソフトを提供するのよりも一歩踏み込んで、相互の会話があり、何かを共有する喜びが得られ、経済的にも成り立つ方法がないものかと。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://tadashi.asablo.jp/blog/2013/01/16/6692965/tb

Free Access Counter Templates