そして主は戻れない2013/08/12 21:14

 写真は南相馬市小高区で見かけたある家の内部の様子です。僕は住んでいる人に無断で、窓越しに室内の写真を撮るとことに強い抵抗がありました。シャッターを押すことをためらいました。単純に、普通では決しして考えられない行為だからです。しかし、僕は撮りました。人が人の営みを破壊し、命までも脅かす残虐な、決して行ってはならない行為がなされた痕跡だと思ったからです。

 この炬燵のある居間の写真は自然災害の津波や地震による被害とは全く異質な状況を示していると思います。
家人が近所まで買いものに出かけて、寒い、寒いと言いながら戻ってきて、炬燵に入り、家族とみかんでも食べていた矢先に、目に見えない、匂いもしない放射性物質とやらが突如として空中を浮遊し始めたのです。そして、それは命を脅かし、自分の家から、街から人々を追い出したのです。

 地震が起きたのは2011年3月11日14時46分。翌日、15時36分、東京電力福島第一原子力発電所第一号機の建屋で水素のガス爆発が発生。以来、南相馬市小高区は人間にも動物にも生活の場として危険な土地になってしまったのです。写真撮影日は2013年8月1日昼12時。今日は2013年8月12日。

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