ドキュメンタリー映画「妻の貌」2009/08/25 20:20

ドキュメンタリー映画「妻の貌」をみました。
オフィシャルサイトには下記のように書かれています。
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「家族を撮ること、それが私の愛情表現です」 
広島在住・82歳の映像作家、川本昭人は半世紀にわたってカメラを回し続けてきた。きっかけは長男誕生を機に手にした8ミリフィルムカメラ。“小型映画”といわれた、そのカメラで原爆症を宣告され、死と向き合って生きる妻の日常を映し取っていく。少し昔の日本にはどこにでもあった、静かに流れる日々の暮らし。しかし、そこにはヒロシマの暗い影が差していた。
ひとりの夫として、父として、家族に寄り添いながら撮影した妻と、介護が必要な母、そして家族の歩み。それは、どこにでもある日常の記録でありながら、半世紀にわたる「歴史」の証言と未来への希望をすくい取っている。
http://www.tumanokao.com/
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すべてが50年間の実録の映像です。「妻」は原爆症を背負う撮影者であり作者である川本昭人の妻です。
この作品は、モザイクやぼかしを施したドキュメンタリー作品の対極にあると思います。
中心人物は原爆症に苦しむ妻で、そのほかに登場するのは作者の母親、子供、孫です。そして、これらの人々の日常が、あたかもありふれた普通の家族の記念写真のように、時代によっては8ミリ映画で、その後にはビデオで撮られ表現されています。

ドキュメンタリー映像の訴える力は作者の本気さもさることながら、撮られる側の本気さも重要であると改めて考えさせられました。
思い出すのは薬害HIV訴訟の川田龍平氏のことです。私見ですが、氏が実名で名乗り出た後の説得力の増幅、社会の反応の変化はカミングアウトをしたことがきっかけであったと思うのです。
ドキュメンタリー映像にモザイクやぼかしを施すのは、やはりその作品の力を弱めるような気がします。
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