診察22016/05/21 20:17

 僕は眠れないまま、ベッドに横になり、早く9時にならないかと時計を何度も見ていました。妻はすでにいつもの食卓の上に3枚のプラスティックカードを用意してくれていました。

 救急病院で処方された薬を飲み切ったものの痛みは全く楽にならず、背中に冷たい汗を感じるくらいでした。

 僕は最近の大きな病院で診てもらう際の「紹介状が必要です。それがなければ初診料が○○千円になります」というは、今回はどんな扱いになるのだろうか、などと余計なことを考えて3枚のプラスティックカードを見ていました。
 まずは主治医だ、と当たり前のことですが電話をしてみました。受付を介しての説明ですぐに指示を出してくれました。
 JCHO(ジェーコー)北海道病院は2年ほど前に循環器内科の検診でお世話になったので、診察券がテーブルの上に出されていました。出かける準備は妻がすべて整えてくれていましたのでタクシーを呼んでそれゆけとなりました。
 15分もかからず受付に立っていました。しかし、さすが、地域医療機能推進機構という全国組織のいかめしい名称の一つの病院であり、地域の基幹病院です。加えて月曜日ですから込み合っていないわけがありません。僕は受付で「痛いんです。急いで診てほしい」と真剣に訴えて手続きをしました。記憶では少なくても3枚の用紙に必要事項を書かされました。僕はこれは拷問に近いなと思いました。
 ロビーは大勢の老若男女たちが、病人の表情をしながら、新しい番号が言われるたびに「まだか」という多少のいら立ちの表情を隠さず、しかし、忍耐強く待っていました。
 30分くらいしたら、急に名前が呼ばれて「救急外来」という表示の受付に案内されました。そこは先ほどの受付とは雰囲気が異なっていました。
 後で分かったのは、妻が、僕の表情が本当に痛みに耐えている風であったので一般受付に掛け合ってくれたようでした。

 大変若い医師でした。土曜日の救急病院での点滴の薬剤や錠剤の処方を妻が示し、何の効果もなかったと説明をしました。それを聞いて触診もせず、医師はすぐにレントゲンやCTの手続きをしてくれました。

 2回目に診察室に呼ばれた時には2人の医師がいました。先ほどの若い医師と一緒に先輩と思われる、少しだけ威厳がありそうな雰囲気の医師です。
 開口一番、膵臓の説明が始まりました。ここの白い部分が云々、ここの黒っぽい部分が云々と。僕はガンかなと思いました。妻の顔を見ることはできませんでした。
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