日々・その26 試験×2に合格―22012/04/16 21:10

(昨日の続き)

 僕は少なくても初級のために50時間以上は費やしていたのです。俄然、負けてなるものかと思いはしました。しかし、その若い氏は「僕は電子工学が専門ですから」と付け加えてくれました。僕はほっとしました。
 VEの皆さんもお話を聞くとやはり理系出身の方ばかりのようでした。算数もおぼつかないような者は僕ぐらいでした。

 初級の問題数は35問。そのうち26問正解で合格です。時間制限はありません。出来た人から採点をしてくれます。

 上級の問題数は50問で僕のよりも多いのにもかかわらず「終わりました」と手を上げるのは1番最初でした。3名のVEが採点をし、確認をし、じきに「おめでとうございます」というVEの皆さんの祝福を受けていました。2番目は若い氏でした。同じようにVEの祝福を受けていました。
 解答の●の付け間違いを3箇所も発見し、がっかりしていた僕が最後に採点をお願いしました。僕の心臓は口から飛び出しそうでした。10分ほどで「合格です」と言われて、フ~っとため息をついてしまいました。まあ、1回目の受験としては初級突破でよしとするか、と自分に言い聞かせました。

 日本の試験の2級は高専の、1級は大学の電子工学のレベルと言われています。僕には分かるはずのない高度な試験なのです。その2級と同等とみなされるアメリカの中級Generalの試験が始まりました。中級の384問の中から35問が出されます。26問の正解で合格です。
 隣にいる若い氏は大変速いペースで問題が印刷されたページを繰っていました。僕は心の中で「慎重に、時間はある」と言い聞かせながら苦しい、あっちこっちの記憶の扉を開けては閉める作業に必死でした。

 若い氏は余裕のハイペースで「はい、終わりました」と。僕はまだ3分の2ほどまでしか進んでいませんでした。すぐに採点が始まり、がやがやと話し声が聞こえてきます。僕は初級のときよりも採点に時間がかかっているなと思いながらも集中力を絶やさないように問題とにらめっこを続けました。

 VEのリーダーが若い氏に歩み寄って何かをメモした紙片を見せて「次回、がんばってください」と話しました。僕は電子工学が専門の若い氏が合格しなかったことに大きなショックを受け、僕もダメだなと思いました。
 僕の採点の番です。随分と長い時間待ったような気がします。しばらくして、やはりVEのリーダーが前方から歩いてきました。ほんの5~6歩のことですがその一歩一歩のゆっくりなこと。スローモーションの映像を観ている様な感じさえしました。僕の前に立ったVEはニコニコして「おめでとうございます!」と。そして皆さんが拍手をしてくれました。全く予期しなかったことでした。電子工学が専門の若い氏が合格をしなかったのに僕が?と思って、失礼ながら、うっかり「本当ですか」と訊いてしまいました。

 僕はすぐに妻に電話をしました。妻もにわかに信じられない風なでした。

 日付が変わって、今日は試験の翌日です。これを書きながらも僕自身はいまだに信じられないのです。30年も前にあきらめた資格を67歳にもなって予想も出来なかった方法で取得することが出たことに、時代の変化を感じています。


 すすき野も雪が無くなり、足元が軽そうです。

コメント

_ 平田範子 ― 2012/04/19 15:13

さすがですね~!
読み進めているとこちらまでふぅ~とため息を打ってしまっていました。
歳ではなく諦めが駄目だと気付かせてもらいましたが頭脳の問題はどうしようもないですね~!

_ 大坂忠 ― 2012/04/19 22:16

範子様
今回の免許取得の試験勉強は敗者復活戦のようなものでした。30年前に諦めたことが環境や制度が変わって、可能性が再度生まれて、それで挑戦したというわけです。
しかし、諦めたこともたくさんあります。この歳になって知恵はあっても糖尿病持ちで体力が衰えていますから、戦渦の現場にに行って写真を撮ることは無理だろうなと思っています(笑)

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