大黒座―22012/12/02 22:07

 大黒座は家族経営です。現在の館主は4代目の三上雅弘さんです。そして、運営に欠かせないのが妻である佳寿子さんと、雅弘さんの母親であり亡き3代目館主・三上政義さんの妻である雪子さんです。
 近頃の都市の映画館は大きなビルの中にあります。大黒座はそうではありません。前回の写真のように独立した建物です。外から見ただけではすぐに映画館だとは気付かないかもしれません。派手にポスターが外壁に貼られているわけでもありません。僕らも遠くから目を凝らして「大黒座」という文字を読んで分かったのでした。

 僕は映画館の経営についての知識は皆無です。しかし、札幌のような都市でさえたくさんの映画館が廃業に追い込まれていますからその難しさは容易に想像ができます。僕には人口1万3千人ほどの浦河町で90年以上も営業を続けているのは素晴らしい出来事だと思うのです。その原点は「映画を見ない人生より、見る人生のほうが豊かです」という3代目館主・政義さんが残した言葉に凝縮されているように思います。映画を通して多くのことを学んだ僕はまさしくその通りと言いたくなります。

 さて、その映画「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」はこれ以上地味な映画はないだろうとさえ思える作品です。福島氏は90歳を過ぎたいまも反体制の主張を貫く現役の写真家です。生活費に不自由になったときでさえも国からの年金は受け取らないと踏ん張ってきました。氏の活動は「ピカドン ある原爆被災者の記録 1960」から始まり3.11まで及んでいます。下記には89歳の時の動画があります。
http://www.youtube.com/watch?v=kqbdjD0rVJA

 大黒座のファンの一人の女性が強い動機を持って館主三上さんに上映のリクエストをした結果、12月1日から14日までの興業が決まりました。お話を聞いていると地域の人々と共に運営をなさっているというのが伝わってきました。
上映と同時に氏の写真展が館内のあらゆる壁を占拠し行われています。

コメント

_ nakky ― 2012/12/03 15:00

なんでもかんでも商業主義で、儲けとか効率とか
そういうのを追求しなければ都市部ではやっていけないのでしょうね・・・

たぶん過疎地は土地も自前で建物も自前で
安い固定資産税を払っていけば「あとは運営者の
高齢化との戦い」みたいな部分なのでしょうね・・・

だいたいの産業でそういう事態に陥っているような気がします。
行き過ぎた「シホンシュギ」のツケなのでしょうね(´Д`。)

_ 大坂忠 ― 2012/12/03 21:27

西田敏行が主演した「虹をつかむ男」という映画があります。イタリア映画の「ニュー・シネマ・パラダイス」と少しだけ類似しています。西田が経営する「オデオン座」は継続の最後の手段としてピザの店に軒下を貸すことを考えます。大黒座はクリーニング店を併設しています。

この世界もフィルムからデジタルへの転換期でデジタル設備の投資が重いと話していました。

第5代目は・・可能性があるようなお話をなさっていました。

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