僕の45年間ー692011/01/29 17:37

 受付に居たのは35~6歳の黒い縮れ毛の、口ひげをたくわえた白人男性でした。「From Japan?」と言いながら名前やパスポート番号を書く用紙を無造作に渡してくれました。続けて「You want to stay one month?一ヶ月滞在したいか」と言いました。僕らは即座に大きな声で「YES!!」と応えました。高橋さんと顔を見ながら「良かったな、助かった」と言い合いました。

 与えられた部屋は2階の4人部屋で2段ベッドが2台ありました。先客が一人居ました。ジョンさんです。ベッドから足が出てしまうほどの長身でした。今はどこででも見かけますが肩にかかるほどの茶色の長髪で、輪ゴムで束ねていました。高橋さんは下のベッド、僕は上のベッドと決めました。やれやれと思いながら荷物を置いてロビーに下りました。

 ここのユースホステルは今までのと違って規則が緩やかでした。日中も滞在できるようで行き場の無い貧乏旅行の若人が大勢たむろしていました。びっくりしたのは、中にはコーヒーなどのソフトドリンクではなくカールスバーグ(Carlsberg)のビールをビンのまま飲んでいる人が何人も居たことです。当時の世界共通のユースホステルの規約にはアルコール飲料は禁止と書かれてあったのですが。皆、大きな笑え声を発しながら楽しそうでした。そのとき、改めて実感したのは英語は大事だな、という言うことでした。
 同国人同士であれば当然母語で話していますが、白人同士といえども必ずしもそれは初めからわかることではないのでやはり出だしは英語なのです。フランス語でもなくドイツ語でもありませんでした。
 
 玄関の近くに所在無さそうにしていたアジア系の僕と同じくらいの年格好の青年がいました。僕はうかつにも気安く日本語で「ここはにぎやかですね」といいました。その青年は「I am not a Japanese. I am from Hong Kong.僕は日本人ではありません。僕は香港から来ました」と黒ぶちのメガネに手をやりながら少し不快そうに応えてくれました。
 僕はフランス語やドイツ語の学習を考える前に、最初に英語を勉強したほうが良さそうだと思いながら、外見で他人を判断することは失礼なことであることを学びました。

 写真は北駅前のホテル。僕らに「駅前旅館」に滞在することの利便性と楽しさを始めて体験させてくれたアルバートホテルです。
http://www.parisby.com/albert1/
(宣伝のつもりではありませんが・・・ご参考までに)
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