大坂なおみと7枚のマスク2020/09/13 11:17

<<大坂なおみと7枚のマスク 勝つたびに世界へ届けた決意>>
朝日新聞デジタル 2020年9月13日
ニューヨーク=藤原学思
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 12日、優勝後のインタビューでは「7枚のマスクでどんなメッセージを伝えたかったのか」と聞かれ、こう答えた。

 「あなたがどんなメッセージを受け取ったのか。それの方がもっと大事です。私はみんなに話を始めてもらうことが重要だと、そんなふうに感じています」
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 テニスの全米オープンで12日(日本時間13日)、2年ぶりの優勝を果たした大坂なおみ選手は、大会を通じて人種差別への抗議を続けた。米国で黒人が警察官らの行為によって命を落とす事件が相次ぐなか、犠牲者の名前が記されたマスクを7枚持参し、試合ごとに1枚ずつ、披露してきた。

 日本人の母、ハイチ出身の父の間に大阪市で生まれた大坂選手は、3歳の時に家族でニューヨークへ移住した。米タイム誌が先月配信した対談記事では、「テニスは白人が多数のスポーツなので、(黒人の)代表のように感じている。そしてだからこそ、負けてはいけないと思うことがある」と語っていた。

 7カ月ぶりの実戦となった8月の「ウェスタン・アンド・サザン・オープン」の途中には、ウィスコンシン州で黒人男性が警官に背後から7発撃たれる事件が発生。抗議のため、準決勝を一時プレーしないと表明し、ツイッターなどには「私はアスリートである前に、一人の黒人の女性です。私のテニスを見てもらうよりも、いまは注目しなければいけない大切な問題があります」との声明を発表した。

目標通り、7試合に出場を果たし、思いも最大限に届けた。

 12日、優勝後のインタビューでは「7枚のマスクでどんなメッセージを伝えたかったのか」と聞かれ、こう答えた。

 「あなたがどんなメッセージを受け取ったのか。それの方がもっと大事です。私はみんなに話を始めてもらうことが重要だと、そんなふうに感じています」(ニューヨーク=藤原学思)
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