蟹工船(東京芸術座/当別演劇鑑賞会主宰) ― 2017/11/11 16:54
最後に芝居を観たのはいつだったか思い出せないくらい、久しぶりの観劇でした。
生身の役者たちの息遣いを感じることができる芝居は、映画とはまた違った感動を覚えました。
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待遇のことで不満をもった漁師たちがストライキを決行しました。その直後のことです。
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「感違いするなよ」吃りが笑い出した。「この、俺達の状態や立場、それに要求などを、士官達に詳しく説明して援助をうけたら、かえってこのストライキは有利に解決がつく。分りきったことだ」
外のものも、「それアそうだ」と同意した。
「我帝国の軍艦だ。俺達国民の味方だろう」
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「有無」を云わせない。「不届者」「不忠者」「露助の真似する売国奴」そう罵倒されて、代表の九人が銃剣を擬されたまま、駆逐艦に護送されてしまった。それは皆がワケが分らず、ぼんやり見とれている、その短い間だった。全く、有無を云わせなかった。一枚の新聞紙が燃えてしまうのを見ているより、他愛なかった。
――簡単に「片付いてしまった」
「俺達には、俺達しか、味方が無ねえんだな。始めて分った」
「帝国軍艦だなんて、大きな事を云ったって大金持の手先でねえか、国民の味方? おかしいや、糞喰らえだ!」
水兵達は万一を考えて、三日船にいた。その間中、上官連は、毎晩サロンで、監督達と一緒に酔払っていた。――「そんなものさ」
いくら漁夫達でも、今度という今度こそ、「誰が敵」であるか、そしてそれ等が(全く意外にも!)どういう風に、お互が繋がり合っているか、ということが身をもって知らされた。
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