モノクロ写真-22017/07/17 09:34

 シャッターを押せば間違いなくきれいな写真が撮れるという、フィルムカメラとは違う「精神状況」を作り出しているのがデジタルカメラではないかと思います。
 フィルムの現像が終わってネガをみて「ああ、撮れている」と肩から力が抜けてゆく、あの安堵感、あるいは、露出を間違ったりピントが外れていたりしていて、傑作への期待が破壊されてゆく、あの悔しさ、といったものはそれなりに貴重な経験であったと思います。
 以前にも書いたことがあることですが、大学生のときに週刊文春の暗室でアルバイトをやっていた時のことです。
 取材から帰社したカメラマンから「現像しておいて」と渡された数本のフィルムに何も写っていなかったときの、心臓が破裂しそうだった経験というのは、50年たった今になっても忘れることはありません。

 写真は2006年に神戸のホテルで撮りました。僕はこの写真を観る度に、父の書斎で、分からない漢字を飛ばしながら本を読んでいたことを思い出します。
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