千代さんの朝日新聞記事2013/05/18 00:20

 このブログでも5回書かせていただきましたが、今日の朝日新聞デジタル版に「玉撞き屋の千代さん」の記事が載っていました。
http://tadashi.asablo.jp/blog/2013/04/24/6789487
 朝日新聞デジタル版で検索をしてみましたら2013年03月23日にも記事が掲載されていました。2回分の記事を転載させて頂きます。不都合な向きがありましたらご連をいただければ幸いです。

最後の客を「またね」と送り… 96歳、女ハスラー逝く
(朝日新聞デジタル版2013年05月17日00時47分)
http://digital.asahi.com/articles/OSK201305160051.html

【荻原千明】大阪市阿倍野区のビリヤード場・保名(やすな)倶楽部を70年間にわたり営み、その半生が舞台にもなった「浪速の女ハスラー」南川千代(ちよ、本名・千代子)さんが心不全のため死去した。96歳だった。遺志により葬儀は行わなかったが、「偲(しの)ぶ会」を25日に開く。
 千代さんは先月19日、店が開く午後2時に窓際のいつもの席に座った。1942年ごろの開店当初から磨き続けた黒檀(こくたん)のビリヤード台の傍ら。40年ぶりに来店したお客さんを夕方近く、「またね」と笑顔で送り出した後倒れた。2日後の21日午後9時29分、大阪市内の病院で息を引き取った。
 20年ほど前から包装紙を折り畳み、小さな「星」をたくさん作っていた。「亡くなったら自分の周りにまいて」と話していた。星への願いは「死ぬまで働きたい」。その通りの一生だった。星は棺(ひつぎ)に納められた。
 店は三女が切り盛りしている。偲ぶ会は25日午後3~5時、大阪市阿倍野区王子町1の11の28の保名倶楽部で。千代さんの生前の写真や映像も紹介される。

96歳、路地裏の女ハスラー 大阪、店守り70周年
(朝日新聞デジタル版2013年03月23日21時30分)
http://digital.asahi.com/articles/OSK201303230129.html

【湊彬子】阪堺電気軌道の路面電車の音が響く大阪市阿倍野区の路地裏に、小さなビリヤード場がある。大正時代の建築と言われる洋館で営業する「保名(やすな)倶楽部」。店主の南川千代(ちよ)さんは96歳。気丈な「女性ハスラー」として一代で店を育て、昨年、70周年を迎えた。一時寝たきりになったが、家族や常連客の支えで復帰し、店を見守る。
 「ひとーつ」「ふたーつ」。プレーを見つめては審判のように点数をつぶやく。店内には磨きこまれたビリヤード台が四つ。「千代さん」と呼ばれる小柄な店主の定位置は、窓際の台のそばの木製の椅子だ。
 昨年12月にあった70周年のお祝い。30代から80代まで30人ほどの常連客が店に集まった。台の上に布を敷き、食事を囲んだ。その日、皆で試合をしたが、千代さんがキュー(突き棒)を握ることはなかった。
 2010年の夏、千代さんは夜、トイレに行こうとして廊下で転び、頭を打ち入院した。硬膜下血腫と診断された。年末に退院したが、店の2階の自宅で寝たきりになった。
 「もう十分生きました」と、食事も受け付けなくなった。そんな姿に、同居する三女の平田範子(のりこ)さん(65)の次女で、孫娘の加藤日登美(ひとみ)さん(35)が大声で耳元に話しかけた。「千代さんの死に方は、こんなんと違うでしょ。働きながら死にたい、って言ってたじゃない」
 千代さんが何を考えたかは分からない。でも、その言葉をきっかけに、震えながら体を起こした。リハビリを重ね、歩けるようになった。約1年後、店に戻った。こぼれ落ちていく記憶が多く、会話もままならなくなったが、点数の数え方だけは忘れていなかった。
 10代で神戸から大阪へ。女給をしていたキャバレーで、船場の洋傘問屋の若旦那と恋に落ち、一緒に暮らすようになった。妻がいたことを後で知った。
 時代は戦争に向かう。男は兵隊に取られ、命を失うかもしれない。生まれた2人の娘を自分の力で養えるようにと、太平洋戦争が開戦した翌年の1942年、店を開いた。26歳の時だ。
 腕を磨き、手だれの男性客たちに競り勝って店を軌道に乗せた。正式に結婚し、1男3女を育てた。いまは8人の孫と11人のひ孫がいる。
 がん闘病で入退院を繰り返した夫を71年にみとったためか、70歳を過ぎたころから千代さんは「死ぬまで働きたい。玉を突きながら死んだら一番いい」と話すようになった。
 大阪市東住吉区の植田茂さん(65)は大学時代から店に通う。若いころに見た千代さんのしなやかなキューさばきを覚えている。でも、千代さんはいま、玉を突くことができない。
 千代さんを支え、代わって店を切り盛りするのは娘の範子さんだ。お客さんに、いまの千代さんの姿を見せない方がいいのかな、とも考えた。でも、千代さんは「店に出たい」と言う。「ありのままの千代さんを見てほしい。苦労しはった。最後に、いい人生やった、と思ってほしい」
 今日も千代さんは、午後2時の開店を控えたビリヤード場の窓際に腰掛け、お客さんを待っている。


 余談ですが、写真の左の記事の写真2点の中の千代さんの写真は僕が2008年に撮らせていただいたものです。

コメント

_ 平田範子 ― 2013/05/20 15:53

千代さんの記事を載せて下さりありがとうございます
又、しのぶ会では大きな写真やカードを持参してくださるとの事、ありがとうございます。

感謝、感激です。

パソコンの調子が悪くメールが出来ませんのでここでお礼を言わせて頂きます。
本当に、本当にありがとうございました。

_ 大坂忠 ― 2013/05/20 23:38

範子様
書き込みをありがとうございます。
このような機会ではありますがお目にかかれるのを楽しみにしています。
札幌は、早朝や夜間はまだまだ寒くて、春遠しです。

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