下北むつ市ー17 ― 2009/11/01 19:39
2時頃に撤収を始めました。妻の弘子と二人で作品をホックからはずし、それに合う箱に入れ、という作業をやりました。
展示作業よりはずいぶんと楽でした。
作業途中にも5~6人が見に来てくれました。気の毒なことをしました。カタログを差し上げて、説明を少しして、を何度かやりながらの箱詰め作業でした。
その中のお一人は、ご友人の父親の名前を写真に見つけてくれました。ある組合の入漁許可の告示に書かれているお名前です。
後日プリントをしてお送りすることにしました。
弘前近郊から3時間近くも運転をして見に来てくれた方もいました。
本来なら農作業をする日であるにもかかわらず新聞記事を見て「居ても立っても居られず」おいでくださいました。同じく、青森県立郷土資料館の学芸員の方も来られました。むつ市内の昭和時代の写真は比較的入手できるが下北半島の村落のはめったに目にすることがないということでした。僕の写真が研究に少しは役立つことがあるかもしれません。
また、この上なく嬉しかったのは、このブログにときどき書き込みをしてくださっている梶川さんが遠路はるばる神奈川県の横浜から駆けつけてくださったことです。本当にビッグ・サプライズでした。
最終日にもかかわらず、毎日新聞がカラー写真を添えて報道をしてくれました。
この展では大変貴重な経験をさせていただきました。
それは写真を撮ったのと同じ地域で展をやり、そこの人々に見ていただき、お話を聞かせていただくという濃密な時間を持つことができたということです。僕はそのことを通じて、自分の写真の原点とも言える「下北半島にて」に一区切りをつけることができたと思います。
そして、60歳から再開した、これからの作品作りに集注できそうな気がします。
何やかにやと今日も盛りだくさんの日でした。
最後になりますが、展のきっかけを与えてくださった宮下むつ市長さん、会場を提供してくださった図書館長さん、メデアの皆さん、特に東奥日報の福井支局長さんとNHKの藤岡記者さん、そして、展にお出かけくださった皆さんに、心から感謝し、御礼申し上げます。
また、妻の弘子にも感謝します。
本当にありがとうございました。
写真は、全てが終わったむつ市立図書館ギャラリー。
下北むつ市 18 ― 2009/11/02 21:41
今回の展示作品数枚を撮影した地域です。
車で30分くらいでした。
道路は立派になり、家並みも当時の雰囲気はありませんでした。
しかし、津軽海峡に面した海は相変わらず厳しい表情を見せていました。
若かったとは言え、我ながら、よくも歩いたものだと改めて思いました。
夏はともかく、冬も歩いたのですから、信じられません。
僕にとっては新しい道路ばかりでしたが、所々に古い道路が見え隠れしていました。しかし、それとて、僕が歩いた道ではないことが明らかでした。詳しくはわかりませんが今の道路は3度目くらいに改修され拡幅されたのではないかという気がしました。
45年の間に様々な面で暮らしが変わったのを垣間見ることができた日でした。
写真は津軽海峡です。
写真展=パリに住む自転車達= ― 2009/11/05 20:02
=パリに住む自転車達=
パリ在住の若い女性写真家である西窪愛子さんの個展です。
パリで撮影した様々な自転車のある風景です。一見どこででも見られる自転車達ですが、西窪さんの目を通すといろいろな「顔」をもっていることがわかります。
ときに自転車そのものが存在を主張し、またあるときには持ち主に長いこと待たされて、すねているかのような表情をも見せます。
無機質な金属でできた道具もあたかも呼吸をしていいるかのようにさえ見えてきます。
すべてが中判カメラで撮られ、正方形です。
プリントはコットンペーパーにパリの自宅の暗室でなさったそうです。
コットンペーパーは風合いがありますね。今回のペーパーは少しアイボリーがかかった感じがする暖かみのある調子です。
オリジナルプリント愛好者にとっては・・思わず値段を聞いてしましそうな雰囲気です。
はがきやカレンダーに加工したのも販売をしています。
是非お出かけください。
写真展=パリに住む自転車達=2 ― 2009/11/05 20:27
「下北半島にて」を終えて ― 2009/11/13 19:30
僕はもっとびっくりしました。まさか電話を頂けるとは思っていませんでしたから。
僕の頭にあるのは、本当に愛らしい表情で笑っている写真のTさんです。
WEB写真展「下北半島にて」 の32ページ
http://www.labofyus.com/osaka_tadashi_pb.html
ドキドキしました。
一瞬、僕は19か二十歳にタイムスリップしたように思いました。
ペンタックスフォーラム新宿やむつ市の会場でたびたび話題になっていた写真があります。それは海辺で若い女性がキネで大豆をついている作品です。
(冊子や会場でのキャプションでは「餅つき」と表現をしましたが僕の誤りでした。正確には、大豆をつぶして味噌玉を作る課程でした。)
で、どこの会場ででも「この女性は誰ですか」という質問を頂きましたが僕には答えることができませんでした。何しろ45年も前のことで、お名前すら覚えていないのですから。
幸いなことにむつ市では、会期の後半になってから複数の方から「春子さんでしょ!」というご指摘を頂きました。さて、どこにお住まいなのかと聞いてみると、関東に引っ越しをされたということでした。
僕は札幌に戻ってきてから、頂いた住所宛に写真と新聞記事、手紙をお送りしました。
そして、お電話を頂いたのです。
Tさんは「夕べ、仕事を終わって遅く家に帰ったのさ。そしたら、うちの主人が『この人分かるが』って、封筒を見せてくれたのさ。『わかんないね』って言って、封筒を開けてみて、いや~、びっくり。うちのひとはすぐに『この写真、見たことある』っていうのさ。」
僕はそのことを聞いて安心をしました。当時、約束の写真を送ったということですから。
僕が写真を撮らせてもらったのはTさんが中学校を終えたばかりで、15歳だったそうです。個展の会場ではもっぱらスケートの浅田 真央に似ていると評判でしたヨ、と言いましたら「うちの娘がそう言われている」と話されていました。
今は娘さん達が住む関東に家を買って転居し、介護の仕事をしているということでした。
僕は一度お会いしたいと言いましたら、浅草あたりだったら仕事で出ることがあるので、ということでした。
45年が経って、Tさんは60歳に。僕は64歳に。
再開できる日が来れば、と願っています。
写真はNHKの取材を受けている様子。
下北むつ市 感想文1 ― 2009/11/16 13:04
僕は2カ所の会場には毎日「出勤」をして来場者の皆さんの写真を見るお顔を注意深く観察させてもらい、また、たくさんの方々のお話を聞かせて頂きました。僕にとって、それはそれは至福の時間でした。
写真を見ている人々は会場で、一気に45年前の時間に戻り、心の中で様々な出来事が去来しているのが如実に分かりました。中には45年前にはこの世に生を受けていなかった方々も大勢いました。しかし、それらの人々も同様に、ある種の回帰を体験している風でした。
大勢の方が感想を書いてくださいました。その一部をここに掲示し、皆さんと来場者の方々のお気持ちを共有したいと思います。
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